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採用・定着と1on1ミーティングスキル
(1)1on1ミーティングとは
1on1ミーティングとは、上司と部下がマンツーマンで行う形式のミーティングです。2012年に人事戦略の一環としてヤフーが導入、その後コロナ禍になったことも後押しして、全国の企業に広まり今では約7割の企業に導入されています。
ここまで広まった理由としては、①優秀な人材を確保しておきたい、②働き方の多様化に応じた育成手法を提供したい、③VUCA時代に適応する人材を育てたい、などを期待してのことであると考えます。
確かに1on1ミーティングをする目的は様々あります。部下の成長を促し、組織全体の結束力を高めることも、そして心理的安全性を醸成することも1on1ミーティングであれば可能ですし、これ以上のツールはないと私は断言します。しかし、それは「正しい1on1ミーティングをやってこそ」のことです。大半の企業は正しい1on1ミーティングができず、「上司の負担が増えるだけ」「意味がない」と投げ出し、形骸化しているのが実際のところであり、私は「正しい1on1ミーティング」を広める活動を行っているところです。
(2)1on1ミーティングに必要なスキル
みなさんは部下の成長を促し、組織全体の結束力を高め、心理的安全性を醸成する1on1ミーティングに必要なスキルとはどのようなことだと思われるでしょうか。「カウンセリング」「コーチング」…とお考えになった方もいらっしゃるのではないでしょうか。それは正解とも言えますし、不正解とも言えます。1on1ミーティングに必要なスキルとは、それらすべてだからだと言えるからです。私は1on1ミーティングとは「コミュニケーションの総合格闘技」だとひそかに呼んでいます。
時には支援をするコーチングのスキルが必要ですし、話を聞くカウンセリングも必要。さらには人生の先輩としてティーチングが必要なこともあるでしょう。
しかし、一番大事なことは、「部下のことを一生懸命に考え、部下が話すことを聞き逃さない」ことだと考えます。次の事例で考えてみましょう。
(3)1on1ミーティングの事例
例えば、「遅刻が多い部下」とどう1on1ミーティングをすればよいのでしょうか。「ダメじゃないか!」そうですけど、何も生み出さない会話です。むしろ不信感しか生み出しません。「気を付けてね~」優しい言い方ですけど、きっと遅刻を繰り返します。
まず部下は遅刻が多いことをわかっていますし、会議室に呼び出されたことで緊張していますのでアイスブレイクをし、そこから相手の体調を気遣うことから切り出します。「最近遅刻が多いみたいだけど何か困ったことはあるのかな?」と続けるとしましょう。「実は最近子どもの寝つきが悪くて…」となれば、先輩としてアドバイスすることもあるかもしれません。「会社に来る気になれない」となればもっと話を聞く必要があるでしょう。「不安だ」と言われれば、「不安というのを具体的に聞かせてほしい」などと答え、何に対しての不安なのかなどを聞きます。
大事なことは、「不安」という感情を表した言葉は便利ですが、人によって感じ方は異なります。ここを聞き逃してはなりません。
もちろん、話を聞くだけではダメで(ここがカウンセリングとの大きな違い)、「一緒に改善策を考えてみない?」と提案することもあるでしょう。あまり長いのもなんなので、また改めて書きますが「話すことなんてない」ことは絶対ないのはわかっていただけたはずです。
(4)採用・定着と「相手のことを一生懸命考える」スキル
以上から、定着に1on1ミーティングが有効なのはご理解いただけたのではないかと考えます。また、採用活動にもこのスキルが有効です。
面接時の質問にも使えるでしょう。質問を想定し考え抜いた就活生の答えから聞き逃さず、突っ込んだ質問をし、就活生の本音、能力を見抜くことも可能です。
また、選考基準を作成するのにも有効です。「人間性」を選考基準にしても人間性の感じ方は人それぞれで、そのままだと面接官によって変わってしまいます。人間性とは何なのか、事業主にヒアリングする際にもこのスキルは使えるのです。